平田良介の2試合連続サヨナラホームラン
プロ野球史上8人目の大記録
平田のオレンジのバットが、2試合連続で最終回に火を噴きました。
2011年6月4日、本拠地ナゴヤドームでの西武ライオンズとの交流戦。11回2死から、アウトになれば時間切れ引き分けとなる場面で、抑えの野上から、2ボール1ストライクからのスライダーを振り抜き、左中間にライナーでスタンドに打ち込みました。
アナウンサーも「もう、ガッツポーズをしている平田」と絶叫。それほど完璧の当たり。
ヒーロインタビューでも「ホームランねらってました、正直」。
「時間がギリギリだったので、正直ねらっていきました。打った瞬間バットの真芯だったので、入ったなと。このときはドヤ顔でホームにかえりました」と試合後にコメントを残しました。野上とは、前年秋のフェニックスリーグでも対戦してサヨナラホームランを打っています。その時の対戦の印象があって、抜けて来るスライダーを待っていたようです。
2本目は、翌日5日のロッテ戦。この日も9回2死から打席に入ると、守護神薮田から2ストライクに追い込まれながらも、3球目の外角高めのストレートを右中間に運びました。
「追い込まれて弱気な平田が出てきて、それで打席を1度外し、積極的な平田を呼び起こしました。」
それで無心になれて、思いっきり振ったらまたまたホームラン。
オレンジ色のバット
長距離砲にとって、大飛球を生み出すバットは体の1部と言っても過言ではありません。その中でも平田のバットは異質です。バットの形状、長さ、色合いは、人によって様々ですが、このサヨナラホームランで注目されたのはオレンジ色の独特のバット。重さ、形状、長さ、さらには材質も昨年までと変わっていませんがその色合い。
NPBの規定の変更により、焦げ茶などのバットの木目が見える色に変更せざるを得ない状況になりました。
黒以外は恰好が悪いので、何か目立つカラーが良いと思い、使用可能な色の中から「これなら誰も使用しないな」とオレンジを選んだと語っています。
それも、思いっきり振れるバット、すなわち信頼しきっているバットが手元にあってこその離れ業でもあります。
今ではオレンジのバットを持っていると、すぐに平田だと分かってくれるファンも増えました。これは嬉しいですね、と。
その笑顔を作りだすのもすべて長距離砲としての神器、オレンジのバットが平田の体の1部となっています。
実は平田だけの快挙
この2試合連続サヨナラホームランは、長いプロ野球の歴史の中でも、平田を含めて8人しか記録していません。
しかも、いずれも2死からのホームランは平田しかいない快挙なのです。
何故なら、2死になれば相手ピッチャーが、更にホームランを警戒するようになるから。それだけに今回の平田のサヨナラホームランには価値があるのです。