最後の一本足打法渡辺勝は荒川博の弟子
打撃コーチも辞めさせようとしていた、絶滅危惧種の一本足打法
大学時代に荒川博に従事した渡辺勝、構えから、初動まで、王貞治そっくりのこの打法は、現代野球には合わないとの意見が多い中で、自分の意思を貫き通し、プロ野球の世界へ入りました。相手投手を観察し、投球フォームと自分のタイミングをはかり、居合いの精神で投手とシンクロする特殊な打法。
代表格はもちろん王貞治
王貞治は荒川コーチと畳の上で、日本刀で上から振り下ろし、降ろす足の摩擦で、畳が擦り切れるまで練習したと言う。
過去には、南海の不惑のホームラン王門田博光。アキレス腱の断裂の大怪我をしましたが、ホームランを打てば足に負担がかからないだろうと言い放ち、ホームランを狙い続けました。
他は3人しかいない
同じく、南海、西武ライオンズで活躍した中距離ヒッター片平晋作。長打にこだわらず自分なりの打撃を磨き、徹底的に振込み自分にあった一本足打法を確立しました。
元、ドラゴンズ、タイガースで活躍した大豊泰明も一本足の代表格。張本勲氏から手ほどきを受けて取得。初めは、相手投手から、タイミングを外されるシーンも目立ちましたが、徐々にモノにしましたが、どうしてもワンバウンドを振る癖があり、三振が目立ちました。とにかく練習をとことんやるタイプで、タイガース時代に一度、スポーツニュースで、室内打撃練習をやめないので「もう、いい加減、ええやろ」ととがめる場面を見ました。
練習後もいたるところで一本足で立つ練習をしていたと言います。そのくらい、練習をして体に染み込ませないと取得できない打法なのです。
現代では、渡辺以外に、一本足打法に近いのは、坂本勇人くらいでしょうか?
渡辺勝は育成最下位の入団
2015年に、育成でしかも最下位指名の6位入団。
そして、2018年ドラゴンズと選手契約をしました。選手契約の際は、墓前の荒川博さんへ報告したという。
どちらかというと守備、そして足のスペシャリストとして1軍へ昇格。
しかし、4本しかヒットが打てずに、ファーム暮らしが長く続きました。
森野将彦打撃コーチも東海ラジオの番組内で前回の2軍打撃コーチ時代に何度も、渡辺にこの打法を辞めさせようとしていました。難しい打法ながらも、理に適っているとの事で、本人とは何度も話し合って続けさせたそうです。
ついに覚醒か?
広島戦では、レフト前にタイムリーヒット。塁に出ると透かさず盗塁。
終盤の8回には、広島のケムナ誠の150キロの速球をライトスタンドへ見事なホームランを放ち、躍動しました。この後、東京ドームでも一発を放ちヒーローとなりました。
試合後のインタビュー
「まさか、自分がここに立ってインタビュー受けるなんて思わなかった」
亡くなった木下雄介さんへも同じ育成で同期入団、活躍を見ててくれたと思う、嬉しい勝利になった」とぎこちないヒーロインタビューが初々しくて良かった
自分のスタイルを貫き通せ
やっとスタートラインに立てた渡辺選手。守備、走塁は文句の付けようがありません。育成上がりの根性と、その1本足打法でドラゴンズのレギュラーを獲って欲しい。個性的な選手がいない昨今のプロ野球。
是非、これからも、自分のスタイルを貫き通して一本打法を続けていって欲しい。