アロンゾパウエル

1992年、主軸を打っていたマーク・ライアルが故障をした為、急遽シーズン中の4月下旬に来日し、ドラゴンズと契約。当時のパウエルの評価の売りは、俊足と強肩でした。5月に昇格し、すぐに1軍に帯同、レギュラーに定着。　　　　　　　　　　　　そのあおりを受けて、ライアルは戦力外となり退団。前年、打率.286　28本塁打　87打点をあげていましたが、パウエルの方が、まだ若く将来性に掛けました。

不屈の精神力

途中入団し、規定不足ながら、この年、打率308を記録し主軸に定着。93年の浜松球場で行われたヤクルトの試合終了後に、ベンチ裏のロッカーの階段で足を滑らせて、右膝半月板損傷の怪我をしました。しかし、怪我をしたまま、試合に出続け、打率317　27本塁打　66打点の成績を残しました。

翌、94年も右足親指の剥離骨折をしましたが、そのままゲームに出続け、打率324で首位打者。その後も連続で首位打者を獲得し、落合の代わりに4番を任される事もありました。

伝説の10.8決戦

この年はあの、伝説の10.8決戦が行われた年でしたが、パウエルは、1点を追う、ノーアウトランナー1.2塁のチャンスで打席に立ちましたが、ジャイアンツ水野投手からショートゴロ、併殺打を放ち、勝ち越すことは出来ませんでした。

このように、勝負弱さが彼の一番の欠点でした。パウエルの最大の特徴は、ホームランを放つ打棒を持ちながら、広角にヒットが打てる、詰まっても野手の間に落ちる打球が持ち味でした。

5階席への大ホームラン

その気になれば、大きいホームランも打つことが出来、97年には、ナゴヤドームの5階席に160メートルの本塁打を放っています。

しかし、主軸を打ちながら打点は少なく、首位打者に輝いた年でも、76打点が最高です。

得点圏打率は人並みですが、ここ一番のチャンスに弱く、月間MVPに選ばれながらも月間の打点が1桁だったこともあります。出塁率が高く、1番を任されたこともありました。膝の故障で守備範囲も狭くなりドラゴンズを退団。　　　　　　　　　　　1998年に阪神タイガースに移籍しますが、体力の衰えは隠せず、1年限りで戦力外となりました。

しかし、外国人、NBP史上唯一の3年連続首位打者を獲得しており、ドラゴンズ史における優良外国人には違いありません。

エルボーガードの先駆者

ジャイアンツの桑田真澄から、肘に死球を受け欠場したことから、エルボーガードを装着しました。そう、NBPで初めてエルボーガードを装着した選手なのです。このおかげで、アウトコースのスライダーに踏み込んで打ちに行けるようになり、打率が上がりました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

そして、以後、NBPではもちろん、高校野球でもこのエルボーガードが普及に貢献しました。

膝の怪我が致命傷

しかし、先に記述した膝の負傷により、2度手術をした影響で、本来のパフォーマンスを出し切れなかったのは残念でなりません。故障さえなければ、もっと輝かしいい成績を残していたに違いありません。

性格も、真面目で、研究熱心で日本の野球に溶け込み、選手、コーチから親しまれていました。

帰国後マリナーズ、パドレス、アストロズと打撃コーチに就任し、実績を残し、そして2021年、再びドラゴンズに打撃コーチとしてやって来ました。

ケン・モッカ、アロンゾ・パウエル、レオ・ゴメスと成功した外国人に言えることは、やる気、性格が大事で、「日本の野球にいかに溶け込めるかどうか」が大事だと、つくづく思いました。