韓国の至宝宣銅烈
青竜 萌代日韓スーパーゲームでの快投
宣銅烈に衝撃を受けたのは、日韓スーパーゲームで来日して岐阜の長良川球場で、投球をした時の事。MAX156キロの速球と高速スライダーで落合博満、大豊泰明、宇野勝から連続三振を奪い驚きました。さらに、実は来日前に軸足の右足首をねん挫をしていて、万全ではなかったことを知り、驚愕しました。日本のマスコミの中でも、全盛期の江川以上と、評価する記者、解説者もいました。
韓国球界のスパースター
11年間ヘテ・タイガースに所属し、146勝40敗、132セーブ 防御率1.20というとんでもない通算成績を残し、チームを7回、優勝をもたらしました。 防御率1位が8回、最多勝が4回、奪三振王が5回という通算成績を残し、ドラゴンズに来る前年に至っては、防御率0.49という信じられない数字を残しました。 そして、1995年の暮れ、韓国リーグで圧倒的な成績を残して来日を希望しました。
ジャイアンツとの争奪戦を繰り広げ、ドラゴンズに入団。この入団は、ドラゴンズが日韓スーパーゲームを主催したり、ヘテ・タイガースとの繋がりが功を奏しました。過去の地道な努力が宣銅烈をドラゴンズに入団させた要因だと思われます。 その努力は、今はキューバとのつながりに繋がっています。これも、選手として峠を過ぎたオマール・リナレスをドラゴンズが獲得したことに端を発しています。そして、今も、巡回コーチとして球団に招き入れています。こうした地道な努力が将来結びつくことになるのです。但し、キューバ政府との交渉や、選手の亡命といったリスクを伴いますが…。
1996年、宣銅烈の初登板は、広島球場での開幕戦でした。
2－1とリードした9回裏、バッターは、好打者前田智徳。147キロのストレートを叩くと、宣銅烈を強襲する内野安打となり、出塁すると金本が四球、続くロペスがライト前にはじき返し同点となり、来日初セーブとはなりませんでした。その後、セーブ、初勝利も挙げましたが味方打線に助けられてのものでした。
打ち込まれる宣銅烈
この後の東京ドームでのジャイアンツ戦で、３点リードの場面での登板でしたが、マックにソロホームラン、落合博満には痛い同点ホームランを浴びました。 この時はテレビで観戦をしていましたが、落合が「巨人ベンチを見てホラな」とばかりに笑みを浮かべて塁を廻っていた事が印象に残っています。おそらく巨人ベンチは投球のクセが分かっていたのでしょう。
その後、再調整を試み、先発として起用されましたが、打ち込まれるシーンが目立ち、シーズン終盤は敗戦処理の屈辱を浴びました。 結局、来日1年目は、韓国の至宝が屈辱的な成績、防御率5.50でシーズンを終えました。
2年目に本来の輝きを取り戻す
春のキャンプでは、日本野球の調整方法、打者との駆け引き、投球フォームなどを再調整して2年目に望んだ2年目は、剛速球と切れ味鋭いスライダーが復活。38セーブと素晴らしい成績となりました。
同僚の与田剛は「真っすぐがうなっていた。地を這うようなボールだった」
大島康徳は「期間は短かったが最高の助っ人の部類に入る、ブルペン後ろからみて凄いと思った」と語っています。
この1997年はオールスターにも出場。
打たれた本塁打がシーズン0本 この年は、なんと、非本塁打がゼロで、シーズンを通してリリーフの失敗は一度もなく完璧な投球を披露。失点はわずか9、防御率1.28という素晴らしい成績を残し、再度、私達に衝撃を与えてくれました。やはり、 宣銅烈 は宣銅烈 でした。 しかし、1999年、コンディション不良と長年の勤続疲労からか、打ち込まれるようになり、首脳陣の配慮で、セーブが付く場面での1人だけの起用や、中継ぎでの登板が多くなり、本人のプライドもあり引退を決意。 ちなみに、1999年のリーグ優勝時の胴上げ投手となりました。
指導者として成功 その後、29セーブ 28セーブを挙げ、99年で引退しましたが、韓国の英雄らしい活躍をみせてくれました。 そして、その後、韓国からドラゴンズへやって来る、リージョンボム、サムスン・リーに繋がっていきます。
引退後はサムスンで監督、韓国代表監督、コーチとして活躍しました。
参考文献 週刊ベースボール 平成9年6月16日
